「けむたい後輩」読了しました!
けむたい後輩
柚木 麻子
幻冬舎
2012-02-24

小説は全然読まないタイプなのですが、(漫画は好き)
夢中になってすぐ読み終わってしまいました。 

女子大生3人の成長と葛藤のお話です。
「あ・・・わかる」とドキっとしてしまうフレーズが多い。
裏表紙
タイプが全然違う3人だから、対立するのに
読者としては、誰も嫌いになれないのが不思議。


印象的な部分に印をつけて読み返すのですが
そのほとんどが栞子のページでした。

過去の栄光にしがみついて、プライドが高い。
異性に好意を持たれると舞い上がってしまう。
そんなモテない女、栞子に激しく共感してしまった部分を中心に選びました。

この本全体を通して
自分の人生を変えられるのは自分だけなんだな。ということを感じます。


努力をして負けるのが怖い

お世辞にも美人とはいえない。スタイルも良くない。しかし、美容やダイエットに躍起にはなりたくない。周囲の女の子たちに負けてしまう気がする。

口紅1つ引かなくても、あの頃の自分は十分魅力的だったのだ。変わりたくない、という気持ちと、取り残されているのかもしれない、という不安が交互に入り交じる。(P.48)

好かれている男性を否定されてショックを受ける

ここまで強く伊佐夫を否定されるとは思わず、栞子はショックを受けてしまう。確かに少々マイペースだけれど、用紙も家柄も申し分ない。彼が現れたことで、毎日が楽しくなっていることろだったのに。 (P.89)

他力本願ってこういうことなんだな

確かにアートやサブカルに強かったり、物作りの才能に恵まれた男に弱いのかもしれない。話が合うのももちろんだが、自分を引き上げてくれそうな気がするのだ。少なくとも、黒木のそばにいるだけで光の当たる場所に行ける気がする。また何か書ける気さえしてくる。(P.155)

努力の女、美里だからこそ腑に落ちる一撃

映画なんて絶対に撮らないわよ。ううん、取れないの。形にする根気もなければ、伝えたいこともないんでしょ。勝負に出ないのは、何がなんでも負けたくないからでしょ?せいぜい栞子にセクハラしながら、激安飲み屋で仲良しトークして、年取っていけば?一生『学生』やってろよ。この負け犬!(P.208)

最後に

「美容はダイエットに躍起にはなりたくない。周囲の女の子たちに負けてしまう気がする。」
「勝負に出ないのは、何がなんでも負けたくないからでしょ?」

上で引用したこの2つのフレーズは特に刺さりました。


なぜやらないのか。

それは、やった結果、
できないと認めたり、負けることや恥をかくことが怖いのだ。

美里や真美子のように
持って生まれた能力の上に、努力を重ねるような人になろう。



最後が爽快で、「読んでよかったな」と思いました。

何か、努力し続けることが辛くなったときに読み返したくなる一冊。

おすすめです!

けむたい後輩
柚木 麻子
幻冬舎
2012-09-12